移住リフォーム

概要

築40年くらいの中古住宅の断熱リフォームと間取り変更。東京から信州へ移住されたお施主様は、佐久市の移住体験施設で冬の寒さを経験。寒さ対策とデザイナーでもあるご夫妻の感性に合った間取り変更をご希望されました。予算の範囲で優先順位を付けて、移住1年目の冬から困らない暮らしができる住宅に改修しました。

既存

既存 居間・客間

和室の居間と二間続きで洋室の客間。中央の引き違い襖で仕切られていたので、独立した個室として使用されたと推測されます。お施主様のご希望は広いリビングですので、補強工事をしながら一間に広げて改修します。サッシも内側に樹脂サッシを設置して2重サッシに改修します。佐久市では断熱改修に補助金が出ます。

既存 台所

独立した既存の台所。当時の建物は断熱が悪かったせいか、一間ずつ区切って各室にストーブを置くのが主流でした。こちらもリビングと空間をつなげて広いL・D・Kへと改修します。汚れのひどい仕上げはもちろん交換。壁のタイルも不要になるので撤去します。勝手口ドアは断熱サッシに入れ替えます。

既存 縁側

奥座敷へ続く縁側。奥座敷は土間コンクリートを打設してギャラリーに改修するので、建具で間仕切る予定。腰壁もワンちゃんを飼う予定があるので板張りに改修します。樹脂サッシによる2重化も施工します。

既存 玄関ホール

昔流行ったR型のドア。デザイン的には面白いのかもしれませんが、今回は引き戸に交換。壁のコルク調クロスも劣化が激しいので腰板+ビニールクロス貼りに改修します。照明器具も懐かしいデザインですが、引き戸に交換となります。

改修工事の様子

防湿工事

まず第一に忘れてはいけないのが、床下の防湿!!断熱ばかりに気を取られ、防湿を怠ると断熱効果も下がりますし、カビの発生や材木の腐朽に繋がります。地面からの湿気はビニールシートで止められます。一手間ですが忘れずに施工することが大切です。

断熱工事

補助金対象の工事になります。今回は壁が土壁だったので床と天井の断熱、一重ガラスのサッシの内側に樹脂サッシを設置、断熱サッシの取付が対象工事となりました。

構造補強

既存壁を抜く時は桁に構造補強を行います。梁せいを足してたわまないようにする。耐力壁だった場合は、他の壁を構造補強すること。今回は床も天井も撤去したので、構造用合板や筋違いで補強をしました。

小屋組、土間床

断熱を屋根下でとれれば、既存の丸太梁を表しにすることも可能になります。また、床を土間床にする際もコンクリート下にスタイロフォームで断熱すれば、床からの冷えを抑える効果があります。

竣工

リビング・ダイニング

6尺だった隣室との繋がりを9尺に広げ、下がり壁も撤去しました。東側の3尺壁は残して構造補強。写真で下がり壁に見えているのは補強梁になります。部屋とすればない方がすっきりしますが、それでは家が保ちません。階段もリビング側に掛け替え。既存柱もアクセントとして残しました。考えなしに間取り変更をすると家を弱くすることがありますのでご注意下さい。下の写真のように、残す耐力壁も大切です。

ダイニング・キッチン

対面キッチンにして、広いL・D・Kを実現しました。デザインを統一することも部屋を広く見せるのに効果的です。無垢の床板や腰板と壁の白色がベストマッチ。写真は全て自然光で撮っています。通常、奥行きのある家は室内が暗くなりがちですが、白で統一した壁と天井は暗さを感じさせません。既存の状態がどんなだったか、わからなくなります。どうぞ見比べて下さい。

縁側、玄関ホール、和室

間取りを変更しなくても、これだけ雰囲気を変えることが可能です。新設されたレトロな建具は、お施主様が自ら探してきたものを設置しました。移住リフォームの場合、古いものを気に入ってそのまま使うもよし、雰囲気を変えて自分の好みの空間にするもよし。ご予算の範囲でどれだけのことができるか、時間はかかっても、よく打ち合わせをすることが成功の秘訣だと感じています。